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失敗しないグレーパールネックレスの選び方
葬儀の席にふさわしいジュエリーとして、落ち着いた品格を持つグレーパール。いざ購入しようと思っても、その色合いや形、大きさは様々で、どれを選べば良いのか迷ってしまうものです。弔事の場で失礼にあたらない、失敗しないグレーパール選びの具体的なポイントを解説します。まず、最も重要なのが「珠の色と照り(輝き)」です。グレーパールには、銀色がかったシルバーグレーから、青みがかったブルーグレー、緑がかったものまで様々な色調がありますが、葬儀用として選ぶなら、できるだけ黒に近い、濃く落ち着いた色合いのものが望ましいです。そして、「照り」と呼ばれる輝きは、ギラギラと光を強く反射するものではなく、内側からほのかに光を発するような、しっとりとした深みのあるものを選びましょう。次に「珠の形」です。最もフォーマルとされるのは、完全な球体である「真円(ラウンド)」です。少し歪んだセミラウンドも許容範囲ですが、デコボコとした形の「バロックパール」は、カジュアルな印象が強くなるため、葬儀の場では避けるべきです。そして「珠の大きさ」は、7mmから8mmが標準的なサイズとされています。これより小さいと少し寂しい印象に、9mm以上になると華美で豪華な印象を与えかねないため、この標準サイズが無難です。最後に「ネックレスの長さ」です。葬儀で許されるのは、必ず「一連」のネックレスです。不幸が重なることを連想させる二連や三連のネックレスは絶対にNGです。長さは、鎖骨の少し下にかかる40cm前後の「プリンセスタイプ」が基本。これより長いものは、お洒落としての意味合いが強くなるため、フォーマルな場にはふさわしくありません。これらのポイントを押さえ、実際に試着してみて、ご自身の肌の色や首のラインに馴染む、品の良い一本を選ぶことが大切です。
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パールだけではない葬儀のジュエリー
葬儀のアクセサリーといえばパールが一般的ですが、実は欧米の正式なマナーでは、パール以外にも弔事のジュエリーとして認められている宝石があります。それが、「ジェット」と「オニキス」です。これらの宝石は、パールとはまた違った歴史と意味を持ち、故人への敬意を表すための選択肢となり得ます。まず、「ジェット」は、和名を「黒玉(こくぎょく)」といい、数百万年前の樹木の化石から作られる、非常に軽い宝石です。その漆黒の色合いと、控えめな光沢から、古くから「モーニングジュエリー(喪の宝石)」として、ヨーロッパの王侯貴族に愛用されてきました。特に有名なのが、19世紀の英国、ヴィクトリア女王です。最愛の夫アルバート公を亡くした後、女王が長年にわたり喪に服し、その際にジェットのジュエリーを身に着け続けたことから、正式な喪の宝石としてヨーロッパ全土に広まりました。非常に軽く、長時間身に着けていても疲れにくいという特徴もあります。次に、「オニキス」は、黒い瑪瑙(めのう)の一種です。その吸い込まれるような深い黒色は、古くから魔除けや厄除けの力があると信じられてきました。パールが持つ柔らかな印象とは対照的に、オニキスはシャープで知的な印象を与えます。悲しみを乗り越え、邪念から身を守るという意味合いを込めて、身に着ける方もいます。日本では、まだジェットやオニキスはパールほど一般的ではありませんが、その漆黒の色は、厳粛な葬儀の場において非常にふさわしいものです。特に、洋装の喪服との相性が良く、凛とした佇まいを演出してくれます。ただし、カットが施されてキラキラと光るデザインのものは避け、あくまでも光沢の少ない、シンプルなデザインのものを選ぶのがマナーです。パール、ジェット、オニキス。それぞれが持つ物語を知ることで、あなたの弔意の表現は、より深く、豊かなものになるかもしれません。