葬儀でお車代を用意する際、最も頭を悩ませるのが「いくら包めば良いのか」という金額の問題です。多すぎても相手に気を使わせてしまいますし、少なすぎても失礼にあたるのではないかと不安になるものです。お車代の金額に絶対的な決まりはありませんが、お渡しする相手や状況に応じた一般的な相場を知っておくことで、安心して準備をすることができます。まず、僧侶へのお車代ですが、これは五千円から一万円程度が相場とされています。もし、自家用車ではなくタクシーを手配した場合は、お車代は不要となります。遠方の親族へのお車代は、相手が利用した交通費の半額から全額程度を目安にするのが一般的です。しかし、全額をきっちり計算して渡すというよりは、例えば交通費が三万円かかったのであれば、一万円や二万円といったきりの良い金額をお渡しすることが多いようです。これは、香典でいただいた金額とのバランスを考慮したり、あまり高額だとかえって相手に恐縮させてしまう、という配慮からです。あくまでも「交通費の足しにしてください」という気持ちで渡すのが良いでしょう。弔辞をお願いした方や、葬儀のお手伝いをしてくれた友人・知人などへのお車代は、三千円から一万円程度が目安です。この場合は交通費というよりも、その労力に対する感謝の気持ち、つまり「御礼」としての意味合いが強くなります。金額は、お願いした役割の重要度や、相手との関係性によって調整します。金額を決める上で大切なのは、無理のない範囲で感謝の気持ちを示すことです。葬儀は何かと物入りな時期でもあります。見栄を張って高額を包む必要はありません。また、お札の枚数にも少し気を配ると、より丁寧な印象になります。四枚や九枚といった、死や苦を連想させる忌み数は避けるのがマナーです。これらの相場はあくまで一般的な目安です。地域の慣習や親族間の取り決めがある場合は、そちらを優先するのが最も確実です。もし判断に迷うようであれば、年長の親族や葬儀社の担当者に相談してみるのも一つの手です。相手への感謝と気遣いの気持ちを第一に考えれば、おのずと適切な金額が見えてくるはずです。