若い頃は、冠婚葬祭に使えるジュエリーといえば、白いパールネックレスが万能だと信じていました。実際に、20代で初めて購入したのも、清らかな輝きを持つアコヤパールの白いネックレスでした。結婚式では華やかさを添えてくれ、葬儀の席では清らかな弔意を示してくれる、頼れる存在でした。しかし、40代を迎え、ある親戚の葬儀に参列した時のことです。いつものように白いパールを着けて鏡の前に立った私は、ふと違和感を覚えました。年齢を重ね、少しずつくすみ始めた自分の肌の上で、純白のパールがどこか浮いて見えるような気がしたのです。その輝きが、若々しすぎて、今の自分の心情や立場にしっくりこない。そんな感覚でした。その時、ふと思い出したのが、母が持っていたグレーパールのネックレスでした。しっとりと落ち着いた、銀灰色の輝き。若い頃は「なんだか地味で、おばあさんみたい」とさえ思っていたそのネックレスが、急にとても魅力的に見えたのです。その葬儀の後、私は自分のためのグレーパールを探し始めました。そして出会ったのは、少し青みがかった、深みのある色合いの一本でした。それを身に着けてみると、驚くほど肌に馴染み、顔立ちをすっきりと、そして品良く見せてくれることに気づきました。白いパールが若々しさの象K徴なら、グレーパールは経験を重ねた大人の女性の落ち着きと、深い思慮を象徴するかのようです。それは、ただ悲しみを表すだけでなく、悲しみを静かに受け入れ、乗り越えていく強さをも感じさせてくれる色でした。今では、私のジュエリーボックスには、白とグレー、二本のパールネックレスが並んでいます。喜びの席では白いパールを、そして悲しみの席では、私の心に寄り添ってくれるグレーパールを。年齢を重ねることは、似合うものが変わっていくこと。そして、新しい美しさに出会っていくことなのだと、グレーパールは私に教えてくれました。